セマグルチド(オゼンピック・リベルサス)の肥満以外の効果とは?副作用やリスクも解説
セマグルチド(オゼンピック・リベルサス)の肥満以外への効果をSNSやインターネット上で目にし、不安になったり使用を躊躇したりしていませんか?
セマグルチドは、近年メディカルダイエットとして使用されている薬です。厳しい食事制限や運動なしで体重を落とすことができ、使用方法や副作用を正しく理解して使えば決して怖い薬ではありません。可能性があります。
この記事では、2024年6月時点でのセマグルチドで報告のある肥満以外の効果や副作用、リスクについても詳しく解説しています。
記事を読むことで、近年報告されているセマグルチドの効果について正しく理解でき、納得した上でダイエットを始められるでしょう。
メディカルダイエットを始めようと思っているけど不安で悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。
セマグルチド(オゼンピック・リベルサス)の肥満以外の効果
2024年6月時点でわかっている、セマグルチド(商品名:オゼンピック・リベルサス)の肥満以外の効果は以下のとおりです。
- 心血管障害リスクの減少
- 不妊・妊娠への影響
- 腎機能への影響
- 肝機能への影響
それぞれ詳しく解説します。
<心血管障害リスクの減少>
セマグルチドは心臓の血管が関わる病気のリスクに関して、いくつか研究結果が出ています。
ある研究では、心筋梗塞や不整脈などの心血管疾患*の発生率や死亡率が低くなる結果が報告されています。ただし、この試験の対象患者は心血管疾患になりやすいリスクを持つ患者である点に注意が必要です。[1]
心血管リスクを持つ患者や2型糖尿病患者に対する別の研究でも、心血管死や脳卒中などのリスクを下げるという結果が得られました。[2][3]
ただし、どれも糖尿病患者や元々心血管疾患のリスクを持つ患者に対する研究であるため、一般的には対象とならない方が多いでしょう。
心血管疾患*:心筋梗塞、不整脈、心不全、狭心症など心臓につながる血管が関わる病気をまとめた総称
<不妊・妊娠への影響>
セマグルチドは不妊の改善や妊娠へ影響があるのではないかと、SNSでも話題になりました。しかし、はっきりとそれらに関して言及されている報告はありません。(2024年6月時点)
不妊に関しては、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という卵巣の病気に関して、セマグルチドではなく同じ種類の別の薬による改善が報告されています。PCOSは数ある不妊の原因の一つです。薬の服用によってホルモン異常が改善し、不妊解消へつながったと言われています。[4]
また、他の研究結果ではセマグルチドによってPCOS患者の体重が減少し、月経異常が改善したという報告があります。しかし、こちらの研究では月経異常の改善までの報告であり、実際に不妊に効果があったかどうかまでは研究されていません。[5]
<腎機能への影響>
セマグルチドは、腎機能の改善に関する研究結果も報告されています。これらの研究は2型糖尿病患者、あるいは糖尿病性腎症という腎臓病に対しての試験です。アルブミン尿やeGFRの低下など、腎臓の機能をあらわす指標の改善がみられました。[6]
一般人向けの結果ではないですが、セマグルチドは腎臓病を持つ患者にとって腎臓を保護する作用を持つことがわかっています。
<肝機能への影響>
セマグルチドによる肝機能への影響に関しては、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の改善が報告されています。この研究に関しても一般患者向けではなく、元々NASHと診断された患者への研究結果であることに注意しましょう。[7]
セマグルチド(オゼンピック・リベルサス)のメリット
ダイエットとして利用する際のセマグルチドのメリットは以下の3つです。
- 体重が減少する
- 食欲を抑える
- 満腹感が続く
それぞれ詳しく解説します。
<体重が減る>
セマグルチドのメリットの一つは、体重減少です。
注射(オゼンピック)あるいは飲み薬(リベルサス)の成分であるセマグルチドは、使用した患者の体重減少や代謝改善が認められています。[8][9]
また、ヒトではなくラットによる研究結果ではありますが、セマグルチドの体重減少は脂肪容積が減ったことによるものだとわかっています。[10]
<食欲を抑える>
セマグルチドでは、食欲を抑える作用も認められています。セマグルチドが糖尿病治療で使われるときは副作用として扱われますが、ダイエットに関してはメリットの一つでしょう。
セマグルチドは、脳へ作用して食欲を抑えると言われています。[10]
<満腹感が続く>
満腹感が続く作用も糖尿病治療では副作用として扱われることが多いですが、ダイエットに関してはメリットとなるでしょう。
一般的にセマグルチドをはじめとするGLP-1と呼ばれるホルモンの濃度が増えると、満腹感が増強されます。
そのため、オゼンピックやリベルサスを使用すると通常より満腹感が続いたり、早く万満腹感を感じたりします。[10]
セマグルチドの副作用・リスク
セマグルチドの主な副作用やリスクは以下の通りです。
- 低血糖
- 急性膵炎
- 悪心
- 下痢・便秘
- 嘔吐 など
セマグルチドは薬の成分名であり、オゼンピック(注射)とリベルサス(飲み薬)の成分はどちらも同じです。よって、基本的に副作用やリスクはどちらの薬でも共通しています。[11][12]
ただし、オゼンピックは自分の皮膚に注射する自己注射製剤です。注射した部位が赤くなったり腫れたりするような注射部位反応が報告されています。[12]
セマグルチドの禁忌や使用時の注意点
セマグルチドは、基本的に注意事項を守って使用すれば過度に恐れる心配のない薬です。しかし、薬であるため禁忌や使用する際にとくに気をつけたい人、使用時の注意点もあります。それぞれ詳しく解説します。
禁忌
セマグルチド使用にあたって禁忌となる人は以下の通りです。
禁忌とは、使ってはいけない人のことです。基本的に、上記に該当する場合はどんな状況でも使用できません。また、オゼンピックとリベルサスは同じ成分であるため、禁忌に関してはどちらの薬でも共通です。
セマグリチドを使用する際に注意が必要な人
セマグルチドを使用する際に気をつけたい人は以下の通りです。また、以下の内容は禁忌と同様にオゼンピック・リベルサスどちらも共通です。
- 重度の胃腸障害や胃摘出患者
- 低血糖を起こしやすい人
- 膵炎の既往がある人
- そのほかの薬を飲んでる人
上記に該当する場合は、禁忌と違って使ってはいけない訳ではありません。しかし、医師と相談しながら慎重に使うようにしましょう。激しい運動や、過度のアルコールを摂取する可能性がある人も事前に医師へ相談しておきましょう。副作用である低血糖が起こりやすくなるためです。
オゼンピックやリベルサス以外の薬を飲んでいる人も、診察時に相談しておくと良いでしょう。すべての薬ではなく一部の薬だけですが、薬同士の相性が悪く、ひどい副作用があらわれることもあるため注意してくださいね。
使用時の注意点
セマグルチドを使用する際の注意点は、オゼンピックとリベルサスで違います。
オゼンピックの注意点
注意事項 | 補足 |
週に1回自己注射 | 専用の注射針を使う毎回針を変える注射後は針を必ず外す |
注射部位は毎回変える | 同じところにずっと打っていると皮膚が硬くなる |
オゼンピックは自分で注射を行う薬であるため、慣れるまでは取り扱いが難しいかもしれません。
注射に使う針は、感染予防のために必ず毎回変えましょう。それだけでなく、針の使い回しは十分な量の薬を注射できなかったり、肌へのダメージが増したりします。
注射針は、そのまま捨てずに医療機関で回収してもらいましょう。針は感染性廃棄物となるため、基本的に一般ゴミと一緒に捨てられません。自治体によっては一般ゴミとして出せる場合もあるため、必ず事前に確認が必要です。。
また、毎回同じ部位に注射していると、徐々に皮膚が硬くなることがあります。注射部位は、少しずつずらすように注意しましょう。[12]
リベルサスの注意点
注意事項 | 補足 |
起床時に服用服用後30分は飲食をしない他の薬も飲まない | 最初の食事や飲水の前の空腹時に服用 |
少なめの水で飲む | 少なめとはコップ半分(120ml以下)の水 |
噛んだり割ったりしない | 安全性が確認されていない |
リベルサスは1日のうち、最初の飲食や薬を飲む前である起床時に飲みましょう。他の食事や薬が胃の中にあると、有効成分であるセマグルチドの吸収が落ちるためです。
また、リベルサスを飲むときの水は、120ml以上だと吸収率が落ちると言われています。120ml以下のなるべく少ない量で飲みましょう。[11][13]
オゼンピック・リベルサスどちらにも共通して言えるのは、基本的に薬だけに頼るのではなく食事や運動にも気をつけることです。
ご自身のためにも、注意事項を守って使用しましょう。
メディカルダイエットを始めるかお悩みの方はおおしま皮膚科へ相談を
セマグルチド(商品名オゼンピック・リベルサス)には、ダイエット以外でもさまざまな効果があるとネットやSNSで言われています。
しかし、どれも元々糖尿病であったり心血管疾患を持っていたりする人を対象としているものであるため、対象とならない方が多いでしょう。そして、どれも悪い結果ではなく、問題に対して改善がみられています。
また、セマグルチドによる体重減少や食欲低下、早期の満腹感などは多くの研究で報告されている、多くの方に期待ができる効果です。
どちらの薬も事前に医師とよく相談し、注意事項を守って使用を続けるのであれば必要以上に心配しなくても大丈夫です。ただし、使用方法や飲み方が一般的な薬と違うため、診察を受けて不安な点や不明点を解消してから使用することをおすすめします。
メディカルダイエットに興味がある、始めてみたいけど不安がある方は、ぜひ一度おおしま皮膚科へご相談ください。
「オゼンピック」について
・未承認医薬品等(異なる目的での使用)
オゼンピックは医薬品医療機器等法において2型糖尿病の効能効果で承認されていますが、肥満治療目的の使用については承認されていません。
・入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内承認薬を仕入れています。
・国内の承認医薬品の有無
国内で肥満治療の効能・効果で製造販売承認されているGLP-1製剤に「ウゴービ」があります。
オゼンピックを一般名とする医薬品は国内では2型糖尿病の効能・効果で承認されておりますが、承認されている効能・効果及び用法・用量と当院での使用目的・方法は異なります。
・諸外国における安全性などに係る情報
GLP-1受容体作動薬の注射製剤が米国FDAで肥満治療薬として承認されています。
「リベルサス」について
・未承認医薬品等(異なる目的での使用)
リベルサスは医薬品医療機器等法において、2型糖尿病の効能・効果で承認されています。
しかし当院で行っている肥満治療目的の使用については国内で承認されていません。
・入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内の承認薬を仕入れています。
・国内の承認医薬品の有無
国内で肥満治療の効能・効果で製造販売承認されているGLP-1製剤に「ウゴービ」があります。
またリベルサスを一般名とする医薬品は国内では2型糖尿病の効能・効果で承認されておりますが、承認されている効能・効果及び用法・用量と当院での使用目的・方法は異なります。
・諸外国における安全性などに係る情報
GLP-1受容体作動薬の注射製剤が米国FDAで肥満治療薬として承認されています。
参考文献
[1]Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes
[3]Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Obesity without Diabetes
[7]A Placebo-Controlled Trial of Subcutaneous Semaglutide in Nonalcoholic Steatohepatitis
[8]Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity
[11]リベルサス錠3mg/リベルサス錠7mg/リベルサス錠14mg添付文書
[12]オゼンピック皮下注2mg添付文書
[13] リベルサス錠/インタビューフォーム