SGLT2阻害薬で老化細胞を除去する?健康的な体になるために

人生100年時代と言われている現代、いつまでも健康で自分のやりたいことができる未来を実現するために、いかに健康寿命を延ばすかが課題ではないでしょうか。最近、世界的に研究されているSGLT2阻害薬が、老化細胞を除去する作用があることが発表され注目を集めています。今回はそのSGLT2阻害薬についてお話をしたいと思います。今後、老化に関連する疾患の発症を遅らせる薬として大活躍する日が来るかもしれません。

SGLT2阻害薬とは

血糖を下げる飲み薬で、過剰な糖を尿と一緒に排出する作用があります。1日に200~400キロカロリー、糖質にして約50~100g、白米に換算するとお茶碗1~2杯分を排出することができます。

SGLT2とはブドウ糖を細胞内に取り込む役割を持つタンパク質の一種です。特に腎臓の尿細管に多く存在し、血液からろ過されて尿に排出されたブドウ糖を再吸収し、血液に戻す働きをしています。この作用をブロックするのがSGLT2阻害薬です。

SGLT2阻害薬で得られる効果

  • 1日に200~400キロカロリーの糖質を尿から出してくれる
  • 心血管の病気を抑えてくれる
  • 腎臓を保護してくれる
  • 健康維持の手助けをしてくれる
  • 老化細胞を除去してくれる可能性がある

1番最後に紹介した老化細胞ですが、最近の研究でSGLT2阻害薬が老化細胞を除去する作用があると発表され注目を浴びています。聞きなれない単語かと思いますので、詳しく解説していきます。

老化細胞とは

老化細胞とは、細胞分裂を停止し、増殖能力を失った細胞のことです。

老化細胞の特徴ですが、炎症性分子を分泌し(老化関連分泌現象/SASP)、周囲の組織に炎症を引き起こして疾患を進行させることがわかっています。

では老化細胞が除去されると体にどんなことがおこるのでしょうか。

  • 慢性炎症の軽減

老化細胞がこれが少なくなることで体全体の炎症が減り、慢性疾患の予防が期待できます。

  • 再生機能の促進

老化細胞は細胞の再生・修復の邪魔をし正常な細胞の機能を妨げます。これらがなくなると、傷の治りが早くなったり臓器の機能が改善されることが考えられます。

  • 免疫機能の強化

老化細胞は免疫力を弱めます。これがなくなると、風邪や感染症にかかりにくくなります。

  • 癌のリスク低減

老化細胞は癌の前段階にあんることがあるため、これらを除去することでを除去することは、癌予防につながることが示唆されています。

  • 代謝機能の改善

老化細胞がなくなると、体のエネルギーの使い方が改善され、体重管理や血糖コントロールがしやすくなることで、肥満や糖尿病のリスクが減る可能性が高くなります。

  • 認知機能の向上

老化細胞が脳からなくなると、記憶力や判断力が良くなり、認知症のリスクが減ります。老化細胞は脳内にも蓄積し、認知機能の低下や神経変性疾患のリスクを高めます。老化細胞を除去することで、脳の健康が維持され、認知機能の向上やアルツハイマーなど神経変性疾患の予防につながります。

  • 寿命の延長

体全体の健康状態が向上し、結果的に健康寿命が延びる可能性が期待されています。

  • 皮膚の若返り

老化細胞が取り除かれると、皮膚の弾力性や潤いが改善され、シワやたるみの軽減する可能性があります。

SGLT2阻害薬でなぜ老化細胞が除去できるのか

もともとは糖尿病治療薬として開発された薬ですが、SGLT2阻害薬の効果は血糖を下げるだけにとどまらないことが分かってきています。複数の研究で、老化細胞の有害効果を防ぐ薬としても利用できる可能性があることが分かってきており、慢性炎症を抑える効果がある可能性が報告されています。

SGLT2阻害薬が老化細胞を除去するメカニズムについてはいくつか提唱されています。

  • AMPKを活性化
  • 酸化ストレスの軽減
  • 慢性炎症の抑制
  • 免疫系の調節

などが関与していると考えられており、これらのメカニズムが相互に作用することで、老化細胞の除去が効果的に行われるといわれています。

AMPKを活性化

AMPKは体内のエネルギーバランスを調節する酵素の1つですが、インスリンの感受性を改善し血糖コントロールを助けたり、脂質代謝を調節します。またオートファジーといって不要な成分や損傷した細胞を分解する作用を促進させたり、老化抑制はもちろん、糖尿病や肥満、動脈硬化のリスクも低減します。

酸化ストレスの軽減

酸化ストレスとは活性酸素種が過剰に存在する状態を指し、これにより細胞や組織に損傷が生じます。酸化ストレスが上昇する要因として、高血糖、炎症、抗酸化防御機能の低下などがありますが、これらの進行を抑制する働きがあります。

慢性炎症の抑制

慢性炎症を引き起こす要因はいくつかありますが、高血糖状態はその1つに挙げられます。SGLT2阻害薬は尿中に糖を排泄させることで血糖値を下げるため炎症を軽減してくれます。またエネルギー代謝を改善してくれる効果もあり、エネルギー代謝が効率よく行われると、細胞が正しく機能し、炎症による細胞損傷を防ぐこともできます。

免疫系の調節

酸化ストレスの軽減、慢性炎症の抑制は免疫細胞の過剰な活性化を防ぎ、正常な免疫機能を保つことができます。また、AMPKの活性化でエネルギーを適切に利用することにより、免疫細胞のエネルギー供給が効率化されます。さらにSGLT2阻害薬はオートファジー(不要な成分や損傷した細胞を分解)のプロセスを促進します。これにより細胞内の病原体や異常タンパク質の除去を助け、免疫系が正常に機能しやすくなります。

当院で採用しているSGLT2阻害薬「フォシーガ」とは

当院では複数あるSGLT2阻害薬のうち、フォシーガを採用しています。その理由は

  • 副作用が少ない
  • 多数の論文や研究がなされており医学的根拠が多数ある
  • 1日1回の内服で済む
  • 心血管リスクの減少

などがあります。

SGLT2阻害薬の中にはSGLT2だけでなくSGLT1も阻害する薬もあり、SGLT1は腎臓だけでなく小腸や心臓、脳でも作用します。一見効果が高くなるから良さそうに思いますが、作用するところが多くなるということはその分副作用が起きる臓器も増え、リスクも増します。当然ながら低血糖のリスクも高くなってしまうのです。当院ではなるべく安全に使用していただくために、シンプルに腎臓のみに作用し副作用も少なく効果を発揮できるフォシーガを選びました。

また、心血管リスクを抑える効果が高いところも特徴であり、コレステロール値を下げる作用もあることが論文で発表されています。

フォシーガの使用方法

1日1回 朝食前または朝食後にコップ1杯程度のお水で飲んでください。
飲み忘れた場合は2回分(2日分)を一度に飲まないでください。
利尿剤やメトホルミン、糖尿病治療のためにインスリン分泌薬(SU薬)との併用は避けてください。

副作用

低血糖症状、脱水症状、頻尿、膀胱炎などの尿路感染症
性器感染症、口渇、便秘、血圧低下、腎機能障害、ケトアシドーシス

  • 低血糖は起こしにくい薬剤ですが、その日の体調など環境の変化によって起こすこともあるので、頭痛やふらつき、冷や汗など低血糖症状を疑う症状があったら速やかにブドウ糖を摂取しましょう。
  • 尿から糖質を排泄することで、陰部に雑菌が繁殖しやすくなります。これにより尿路感染症や性器感染症を起こすことがあります。特に女性は発症しやすいので、陰部を清潔に保つようにしましょう。
  • インスリンや炭水化物が足りないと、ブドウ糖ではなく脂肪酸を分解してエネルギーと得ようとします。脂肪酸を分解する際発生するケトン体が蓄積するとケトアシドーシスを発症することがあります。吐き気や呼気の甘い匂い、激しい喉の渇き、異常な眠気、息切れ、脱力感が現れた場合は速やかに医療機関に受診してください。
  • 利尿作用があるため水分は意識して多めに取る必要があります。普段より多めに、こまめに水分摂取することを心がけましょう。

まとめ

  • 加齢に伴う疾患の発症リスクを低減してくれる
  • 老化細胞を除去することで慢性炎症を抑制する
  • 血糖をコントロールしてくれる
  • 腎臓を保護してくれる
  • ダイエット効果がある
  • 健康寿命を延長する可能性がある

フォシーガの内服によって得られる有益な効果は上記の通りですが、同時に副作用についても知っておく必要はあります。フォシーガに限らずどのお薬も一定の副作用は出現しますが、正しく内服し、副作用を理解して対策をしっかり行い、定期的なカウンセリングで安心して使用しましょう。

フォシーガの料金

フォシーガ
5mg 30錠¥7,800(税込¥8,580)
オンラインでご購入の場合
診察料¥1,000(税込¥1,100)
郵送料(フォシーガのみご購入)¥1,000(税込¥1,100)
直接ご来院の場合
診察料¥1,000(税込¥1,100)

当院では、ご来院・オンラインのどちらでもフォシーガをご購入いただけます。
オンライン診察をご希望の患者様は以下のリンクよりお申し込みください。アプリのインストールやシステム使用料は不要です。

【オンライン診療ご利用にあたって】

  • 診察ご希望のお時間を選択いただき、お申し込みください。ご予約いただいた時間枠の間に、当院よりお電話を差し上げます。なお当院の固定電話以外に携帯電話からお電話をすることもございますので、ご了承ください。
  • 1回のオンライン診療で、数か月分をまとめてご購入も可能です。
    郵送料は、1か月分でも数か月分でも変わらず1,000円(税込¥1,100)です。
  • 副作用が起きた場合でも返品はできませんので、初めての方は1か月分のご購入をお勧めしております。
  • 当院はヤマト運輸の支払いシステムを導入しており、患者様は商品を受け取り時にカード決済もしくは現金での代引きを選択できます。
    ネット上での振込やカード決済トラブル等がご不安な方も、安心してご購入いただけます。
  • オンライン診療時にヤマトの宅配の希望日時をお伺いします。 追跡番号を知りたい方はoshimahifukajimu@gmail.comまでお問い合わせください。
  • 直接ご来院し受診される場合、郵送料はかからず、通常の診察料のみとなります。

フォシーガが気になる方は渋谷駅前おおしま皮膚科へ

当院では患者様のお悩みを丁寧にカウンセリングさせていただきます。
フォシーガ以外にも、気になるものがある方は、当院へお気軽にご相談ください

渋谷駅前おおしま皮膚科院長|大島昇 監修

渋谷駅前おおしま皮膚科が選ばれる3つの理由

①保険診療主体で医療連携機関が多数あり安心

最新の医療を学び、最善の医療を提供できるよう、努めています。また、疾患によっては、大学病院・総合病院と連携して治療します(東大病院をはじめ多数の大学病院の医療連携機関に登録されています)。

②平日は11時~19時30分、土日は9時~17時30分まで診療

渋谷駅前にあるため、アクセスがとても便利。お仕事や学校帰りに受診できるよう、夕方や土日も診察しています。

③年間22万人以上の来院実績

2023年度来院者数は、22万947人でした(注:2023年1月4日~2023年12月28日まで)。

参考文献

SGLT2 inhibition eliminates senescent cells and alleviates pathological aging

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SGLT2i Alleviates Atherosclerosis by Inhibiting NHE1 Activation to Protect against Macrophage Senescence Induced by Angiotensin II

Yang Cao 1Tianhui Wang 1Qian Tian 1Shuping Zhang 2Yuan Zhu 1Lan Wang 3Nannan Li 1Miao Lei 4Xiangang Mo 1 Affiliations expand PMID: 38803180 DOI: 10.2174/0113862073310500240514045321

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「フォシーガについて」

未承認医薬品等

フォシーガは医薬品医療機器等法において、1型・2型糖尿病、慢性腎臓病、慢性心不全の効能・効果で承認されています。
しかし当院で行っている肥満治療目的の使用については国内で承認されていません。

入手経路等

国内の医薬品卸業者より仕入れています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はリスクが潜む個人輸入をご確認ください。
個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。

国内の承認医薬品等の有無

ダパグリフロジンを一般名とする医薬品は国内では糖尿病、慢性腎臓病、慢性心不全の効能・効果で承認されておりますが、承認されている効能・効果及び用法・用量と当院での使用目的・方法は異なります。

諸外国における安全性等に係る情報

なし

ご不明点などございましたらお気軽にご連絡ください

TEL:03-3770ー3388