医療法人社団 健昇会

皮膚科 小児皮膚科 アレルギー科 形成外科

 皮膚悪性腫瘍の診断・治療は私が医師となってから最も力を注いだ分野の一つ
 です。
 東京大学医学部附属病院 皮膚科、形成外科、三井記念病院、
 国立病院機構相模原病院、日本赤十字社医療センター、病院外での外勤先も
 含めトータル150件以上の皮膚悪性腫瘍の摘出を執刀医として行わせて
 いただきました(良性腫瘍を含めると1500件は超えます)。
 悪性腫瘍の治療は単純切除から皮弁を必要とするもの、分層植皮、全層植皮、
 パジェット植皮まで全て執刀医として治療経験を積んでおります。



当院でも皮膚悪性腫瘍の診断、治療に関するセカンドオピニオン等なんでも御相談ください。
また転移を起こしていない皮膚悪性腫瘍で局所麻酔で治療可能なものなら、当院で手術も行っておりますので
御相談ください。転移をきたす可能性のある悪性腫瘍の手術に関しましては、関連病院、もしくは、
症例数の豊富な病院等提示しますので、患者様のご希望の病院に紹介状を記載させていただきます。
気になるできものがある場合は放置せず、皮膚科専門医がいるクリニックに、早めに受診することが
一番重要です。

皮膚悪性腫瘍

社会が高齢化するにしたがって皮膚悪性腫瘍の発生が増加傾向にあり注意が必要です。
1987 年から2001 年までの100 施設における皮膚悪性腫瘍の集計で、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、
いずれの腫瘍も1.5~1.7倍の増加となっています。
前癌病変ではでは日光角化症が最も多く、今後、日光角化症由来の有棘細胞癌の増加が懸念されています。
このうち基底細胞癌、有棘細胞癌、日光角化症は60歳以上の高齢者に多くみられ、それ以外に
高齢者に多い皮膚悪性腫瘍としては、ボウエン病、乳房外ページェット病、皮膚T細胞リンパ腫、
そして発生頻度は低いもののあまり有効な治療がなく、発見が遅れるとしばしば致命的になるものとしては
悪性血管内皮細胞腫があります。
それでは個々の腫瘍について説明させていただきます。なお、日光角化症Bowen病については頻度が高いため
他のページで詳しく治療方針等を説明しておりますので、そちらをご覧下さい。

有棘細胞癌

表皮の角化細胞に分化する腫瘍細胞からなる悪性腫瘍です。

Q 症状は?
A 角化性(表面がざらざらした)の紅色のできもので、さらに角化が著明になってカリフラワー状に
  盛り上がったり、反対にえぐれて潰瘍になることもあります。

Q どういう人にできやすいの?
A 熱傷後の瘢痕や放射線照射後の潰瘍などにおこりやすいです。
  また日光角化症やBowen病から変化し有棘細胞癌になることもあります。
  リンパ行性に転移しやすいので見つけたらリンパ節の確認も必要です。

Q 好発部位は?
A 日光曝露部にみられることが多いですが、全身どこにでも起こります。

Q みつけるポイント
A 赤いできものや、えぐれた潰瘍の周辺に、日光角化症や熱傷後の瘢痕などの発生母地や先行病変があると
  非常に有棘細胞癌が疑わしいため、すぐに受診してください。
  えぐれた潰瘍になっている場合はその辺縁が堤防状に隆起し硬く触れることが多いです。
  疣(イボ)や脂漏性角化症など良性のものに比べ着実に増大すること、細菌感染が併発し、
  嫌気性菌の感染による独特の悪臭を伴ったり、潰瘍化した部分の出血が止まらなくなったりすることも
  あります。

基底細胞癌

表皮の基底細胞に似た腫瘍細胞からなる腫瘍です。局所では深部に浸潤、破壊していくが
遠隔転移はまれな疾患です。

Q 症状は?
A 日本人の基底細胞癌は多くが黒色の結節ですが、扁平隆起して外方に拡大するもの、
  色素沈着がなく、凹んだ局面を呈するものもあります。

Photo◆
この患者様はホクロのレーザー治療目的に当院を紹介受診された患者様です。
一見するとホクロのようですが独特の蝋様光沢があります。
ダーモスコピーで確認すれば樹枝状血管等典型的な基底細胞癌と一目瞭然です。

Photo
患者様に説明し、翌日手術をしました。

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術翌日です。

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抜糸時はほとんど傷はわかりません。

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術2週間後は近くでも傷はわからず、患者様は大変満足してくださいました。
皮膚科冥利につきます。

Q 好発部位は?
A 多くが顔面。それ以外に躯幹、腋窩、陰部に好発します。

Q みつけるポイント
A 結節型のものでは表皮が薄くなるため表面に独特の蝋様光沢(テカテカする)があり、
  周辺は黒色の小結節が放射状に配列します。毛細血管拡張を認めることも多いです。
  大きなものでは潰瘍化することが多いです。
  黒色の腫瘍にはホクロ、脂漏性角化症、そして悪性黒色腫などがあり、それらとの鑑別は
  肉眼では慣れていないと難しいこともありますが、ダーモスコピーでは一目瞭然です。
  ダーモスコピー(詳細に皮膚病変を観察するためのライト付き拡大鏡)

悪性黒色腫

色素細胞の悪性腫瘍です。早期にリンパ節転移をきたし、有効な化学療法も少なく、
放射線感受性も低いことから予後不良です。

Q 好発部位は?
A 日本人では掌蹠・爪甲部に生じる末端黒子型が最も多いが、近年、体幹、下肢に好発する
  表在拡大型が増加しており注意が必要です。

Q みつけるポイント
A 小さいものは良性のホクロとの鑑別は難しいです。
  大きさが1 cm を超える黒色斑で非対称性、辺縁が不整なものは悪性黒色腫の可能性が高いので
  当クリニックをはじめとした皮膚科専門医を受診してください。

  ●悪性黒色腫を疑う所見
   A:asymmetry(左右不対称、不規則形)
   B:border irregularity(境界不整)
   C:color variegation(色調が濃淡多彩)
   D:diameter (大きい、直径6mm以上)
   E:elevation(表面が隆起してくる)

乳房外パジェット病

パジェット病は乳房および乳房外(外陰、腋窩、肛囲など)の表皮内で、パジェット細胞と呼ばれる細胞が
増殖することを特徴とする悪性腫瘍です。
腫瘍細胞の浸潤が表皮内のみに限られる場合は、手術で十分な範囲切除できれば根治が期待できますが、
早期にリンパ節転移をきたすものは予後不良です。

Q 症状は?
A 臨床像は湿疹や真菌感染症とよく似た紅斑やびらんです。時に軽い掻痒を伴います。
  治りづらい湿疹が陰部にみられたら疑うことも重要です。

Q どういう人にできやすいの?
A パジェット病は中高年の女性(40~60歳)に多く、乳癌の一特異型としてとらえられており、
  乳腺外科で取り扱われることもあります。乳房外パジェット病は高齢(60歳以上)の男性に
  多く見られます。

Q 好発部位は?
A 高齢の男性の陰部に圧倒的に多くみられます。次いで腋窩、肛囲などにみられます。

Q みつけるポイント
A 高齢の男性の外陰部などに慢性に経過する紅斑やびらんを見た時は本症を疑ってください。
  紅斑の周囲に連続性ないしは紅斑と独立して脱色素斑を認めることが比較的特徴的な所見です。

悪性血管内皮細胞腫

高齢者の頭部に好発し、外傷から始まる悪性腫瘍です。
進行が急で怪しいと思ったら早めの受診をお願いいたします。

Q 症状は?
A 高齢者の頭に紫斑ないし易出血性の結節、潰瘍などで発症し、数カ月で急速に増大します。
  転移は肺または胸膜が多く、次いで肝臓、骨です。
  肺転移は血胸、気胸としてみられることが多いです。
  腫瘍のサイズが直径5 cm を超えたり、所属リンパ節転移を起こしたりすると予後は極端に悪化し、
  かつては5年生存率はほぼ0%でした。

Q どういう人にできやすいの?
A 本邦では高齢者(70 歳以上)の頭部にみられることが多いです。

Q 好発部位は?
A ほとんどは高齢者の頭部にみられます。

Q みつけるポイント
A 外傷が既往にあることが多く20~50%ともいわれています。
  紫斑で発症した場合など外傷で片付けられていることも多く注意が必要です。
  高齢者の頭部に紫斑や易出血性の紅色結節をみた場合は、速やかに皮膚科専門医のいる病院を
  受診してください。悪性黒色腫同様、生検はこれも転移、播種を引き起こすので禁忌といわれています。

皮膚T細胞リンパ腫

皮膚の湿疹様の病変から始まる悪性腫瘍です。

Q 症状は?
A 皮膚のT細胞リンパ腫の初期は紅斑期と呼ばれ、湿疹に似た落屑を伴う紅斑が数年から数十年にわたり
  出没を繰り返します。大抵の場合かゆみも伴います。
  次の扁平浸潤期になると徐々に紅斑の一部に浸潤、肥厚を生じ、扁平に隆起します。
  最後の腫瘍期には結節や腫瘤が生じます。腫瘍期に入ると50%が約2年半で死亡します。

Q どういう人にできやすいの?
A ◆

Q 好発部位は?
A 多発性で全身どこにでも生じうる。

Q みつけるポイント
A とくに紅斑期の皮膚T細胞リンパ腫を、湿疹や乾癬と鑑別することはきわめて難しいです。
  皮膚生検を行っても通常の病理組織像から診断することはしばしば困難で、
  腫瘍細胞の免疫組織学的検索や、TCR遺伝子再構成から腫瘍細胞のモノクロナリティーを
  検出することが診断に必要になります。
  年余にわたり続く湿疹や紅皮症をみた時には一応この病気を念頭においたほうがよいです。
  皮膚T細胞リンパ腫に限らず、高齢者の皮膚腫瘍は紅色を呈するものの多くは
  湿疹や皮膚真菌症と酷似していて、掻痒の有無も鑑別にはなりません。
  皮膚悪性腫瘍を見逃さない重要なポイントは、まず疑うことから始まります。



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