医療法人社団 健昇会

皮膚科 小児皮膚科 アレルギー科 形成外科

蕁麻疹(じんましん)

 蕁麻疹の病態は、毛細血管の透過性が亢進し、皮膚に浮腫が起こり、
 膨疹(蚊に刺されたような発疹)が全身にできる疾患です。
 その原因は皮膚の肥満細胞から分泌される、さまざまな
 ケミカルメディエーター(ヒスタミンなど)が関与していると
 言われています。
 ◆型アレルギーとよばれるアレルギーにより発症する場合と、アレルギーが
 介在しない場合があり、種々の原因が病態に関与します。
 最近の研究では病態に関与しうる増悪、背景因子は一部アトピー性皮膚炎の
 増悪因子と重なる所もあり、またアトピー性皮膚炎自体が背景因子として
 関与を指摘されています。

蕁麻疹にはいくつも種類があり、良く知られるのが食事性アレルゲンによる蕁麻疹と思われますが、それ以外にも
原因は様々で、詳細な問診を行うことにより、増悪・背景因子を洗い出していくことが重要です。

症状

皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気です。
痒みの有無は様々で多くの場合は痒みを伴いますが、自覚症状のないかたもいらっしゃいます。
個々の皮疹は24時間以内に消失しますが、ほかの部位に新たに発疹が生じます。
重症例では呼吸困難・血圧低下などのアナフィラキシー症状がみられることもあります。
数日から2週間程度で治癒する急性蕁麻疹、1か月以上出没を繰り返す慢性蕁麻疹にわかれます。
多形紅斑、蕁麻疹様紅斑、蕁麻疹用血管炎との鑑別が必要で、具体的な皮疹の部位を指定しいつからあるか、
問診することが重要です。最近は患者様自身デジタルカメラをお持ちなので、適宜写真をとっていただき
経時的な変化をチェックさせていただくことも診断の手助けになります。
コリン性蕁麻疹は時に運動により重篤な全身症状(血管性浮腫やショック症状)を呈するため、
食物依存性運動誘発アナフィラキシーとの鑑別が重要で注意が必要です。

診断の進め方

病型の確定と原因の探索が重要です。
蕁麻疹の病型は個々の皮疹の性状と経過により診断できることが多く、原因検索のための検査は
病型によって異なります。
よって病院によってはルーチンで血液検査をしていますが、単に蕁麻疹があるからといって
毎度血液検査を行うのはナンセンスですし、IgE検査は値段も高いため医療費の無駄と言わざるをえません。
個々の患者様にあわせて検査内容を立案するのが重要です。
◆型アレルギー疑う場合はアレルギーの一般的検査法を用いて責任抗原を同定します。
目の周り、口周りが腫れるのが特徴的な血管性浮腫の場合はC1-esterase inhibitor:C1-INHの値が有用です。
特発性蕁麻疹の場合は下記の因子を念頭に診察し、病歴、理学所見などから検査を行います。

蕁麻疹の病態に関与する因子(日本皮膚科学会 蕁麻疹診療ガイドラインより抜粋)

1.直接的誘因(主として外因性、一過性)
  1)外来抗原
  2)物理的刺激
  3)発汗刺激
  4)食物*
    食物抗原、食品中のヒスタミン、仮性アレルゲン(豚肉、タケノコ、もち、香辛料など)、
    食品添加物(防腐剤、人工色素)、サリチル酸*
  5)薬剤
    抗原、造影剤、NSAIDs*、防腐剤、コハク酸エステル、バンコマイシン(レッドマン症候群)等
  6)運動
2.背景因子(主として内因性、持続性)
  1)感作(特異的IgE)
  2)感染
  3)疲労・ストレス
  4)食物
    抗原以外の上記成分
  5)薬剤
    アスピリン*、その他のNSAIDs*(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)、
    アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬*(血管性浮腫)等
  6)IgE または高親和性IgE 受容体に対する自己抗体
  7)基礎疾患
    膠原病および類縁疾患(SLE、シェーグレン症候群等)、造血系疾患、
    遺伝的欠損等(血清C1-INH 活性が低下)血清病、その他の内臓病変等、
    日内変動(特発性の蕁麻疹は夕方~夜にかけて悪化しやすい)

これらの因子の多くは、複合的に病態形成に関与する。急性蕁麻疹では感冒などの急性感染症、
慢性蕁麻疹ではしばしば上記の自己抗体やヘリコバクター・ピロリ菌感染などが関与し得ることが
知られているが、それだけでは病態の全体像を説明できないことが多い。
また、一般に上記の直接的誘因は個体に曝露されると速やかに膨疹を生じることが多いのに対し、
背景因子は個体側の感受性を亢進する面が強く、因子出現と膨疹出現の間には時間的隔たりがあることが多い。
また、両者は必ずしも一対一に対応しない。そのため、実際の診療に当たっては、症例毎の病歴と蕁麻疹以外の
身体症状などに留意し、もしこれらの因子の関与が疑われる場合には、膨疹出現の時間的関係と関与の程度に
ついても併せて判断し、適宜必要な検査および対策を講ずることが大切である。
*:膨疹出現の直接的誘因のほか、背景因子として作用することもある。

上記のようなことを念頭に精査を行いますが、一般に考えられているほど、内因的な異常はみられません。
採血で炎症を示唆するCRP陽性の場合や、溶連菌感染を疑うASO陽性の場合は扁桃腺炎、むし歯、副鼻腔炎が
症状の悪化に関わっている可能性があり、これらの有無を検索します。
ヘリコバクター・ピロリ感染症も蕁麻疹の病態に関与することも知られていることから
胃腸症状の有無がある場合は注意します。
魚介類摂取時の蕁麻疹は魚自体が悪さをするだけではなく、アニサキスが原因であることもあったり、
摂取後6-12時間たってからおこる納豆による遅発性アナフィラキシーなどの報告もあり、
詳細な問診も重要です。
コリン性蕁麻疹では汗にアレルギー反応を認めることがあり、アセチルコリン皮内テスト、
自己汗皮内テストが診断に有用です。

治療

原因・悪化因子の除去・回避と同時に行う適切な薬物療法が重要です。
薬物療法の基本は抗ヒスタミン剤内服、症状が激しい場合はステロイド短期内服・点滴も併用します。
また一般的な治療でコントロール不十分、他病院で改善しない難治性蕁麻疹に対してレセルピン療法を
行うのが私の治療の特徴です。
この治療は副作用が非常に少ないわりに患者様によっては完治することが多く、多くの皮膚科で
今後難治性蕁麻疹に対して試す価値ある治療と思われます。
他病院でステロイドや免疫抑制剤を使用し改善しなかった長期続く難治性蕁麻疹の患者様に対して、
私が国立病院機構相模原病院、日本赤十字社医療センターにいたとき、多くの患者様を紹介いただき
著効例を数多く経験しております。(感覚的に半数の方に著効しております
またこの治療法は難治性の多形慢性痒疹にも効果あり、私の上司が論文で発表しております)。

また病型によってはジアフェニルスルホン内服、抗ロイコトリエン薬、漢方薬が著効する場合もあります。
治療が難渋することもしばしば経験しますがそのような場合、免疫抑制剤(シクロスポリン)内服が
著効することもあります。
C1-INH不全による血管性浮腫では予防的にトラネキサム酸、蛋白同化ホルモンを内服し、重篤な場合は
C1-INH製剤を点滴します。
時にアナフィラキシー反応と呼ばれる呼吸苦を伴う急激な反応を引き起こすことがあり、
そのような患者様に対してはエピペン処方も行います。

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