掌蹠膿疱症の症状 治療方法について - 渋谷駅前おおしま皮膚科

掌蹠膿疱症

症状)手掌、足底に白くぷつぷつとしたいわゆる『無菌性膿疱』が多発し周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
爪周囲の病変では爪の変形や肥厚も生じます。
四肢にも乾癬様の皮疹がみられることもあります。
一番の問題は「治らない」、「慢性です」といわれた患者がワラをもすがる思いで医療機関を転々としていることですが、これはしっかりと病態を把握し、原因がわかれば決して治らない疾患ではないと考えています。

鑑別疾患は下記に記載するように多くにわたり、それぞれ治療方針も異なるため適切な診断が必要です。

  • 足白癬、手白癬
  • 汗疱、異汗性湿疹
  • 接触皮膚炎(特に外用薬によるかぶれ)
  • 金属アレルギー
  • Id 反応、自家感作性皮膚炎
  • 好酸球性膿疱性皮膚症
  • 汎発性膿疱性細菌疹
  • 掌蹠角化症
  • アロポー稽留性肢端皮膚炎(※)
  • 掌蹠型の乾癬(※)

※の2つは海外では同じ範疇に入る疾患としてとらえられています。
手足に膿疱を生じる疾患としては掌蹠膿疱症以外に好酸球性膿疱性皮膚症、アロポー稽留性肢端皮膚炎、汎発性膿疱性細菌疹があります。好酸球性膿疱性皮膚症は非常に稀ですが、臨床像が掌蹠膿疱症と酷似することがあり、膿疱の著しい新生が続く場合は生検し、好酸球性膿疱でないことを確認する必要があります。
爪床、爪母ばかりに膿疱形成が著しく爪囲の腫脹と疼痛が強い場合は、病巣感染の関連が小さいアロポー稽留性肢端皮膚炎との鑑別が必要になります。
汎発性膿疱性細菌疹は、急性扁桃炎を契機に血管炎を伴う膿疱が手背、足背側を主体に多発し、四肢あるいは全身に拡大する疾患で、発熱、炎症反応陽性を伴います。
一過性の経過で、抗菌薬内服で軽快します。

喫煙者に好発し、ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、紫外線療法といった対症療法もある程度奏効しますが、これらのみでは皮疹軽快までに平均 5~7年を要します。
しかし、手足の膿疱と紅斑は、常に手を隠して生活する、痛くて歩けないなど患者にとって大きなQOL障害を招いています。
また、10~30%で胸肋鎖骨間骨化症をはじめとする掌蹠膿疱症性骨関節炎を伴い、激烈な痛みを伴う関節症状が出現することもあります。
以前より 扁桃摘出術、歯科治療により掌蹠膿疱症が速やかに軽快することが知られ、掌蹠膿疱症は皮膚疾患でありながら、そのほとんどが扁桃腺炎やむし歯等歯科領域など他科の病巣感染によるという、科の分類を超えた病態がみられます。
原因を見出し、適切に治療すれば、決して「治らない疾患」ではないと考えています。
(扁桃腺摘出後に血清中 IL-6、IL-8 が低下する、扁桃の常在菌であるα-streptococcusを刺激するとTNFαの産生が有意に増加する等の分子生物学的にもある程度解明されてはいますが、特定の自己抗体による疾患などとは異なり、病巣感染のすべてを分子生物学的に解明するのには限界があります)
頻度は10%程度と少ないですが病巣感染以外に金属アレルギーによる掌蹠膿疱症も知られ、臨床的には多数の小水疱を混じ痒みが強い例が多いです。
金属アレルギーが関与する異汗性湿疹や接触皮膚炎と金属アレルギーによる汗疱型掌蹠膿疱症は区別が困難な例もあり、病理組織所見や経過で判断します。
金属が原因として疑われる場合はパッチテストを施行いたします。

掌蹠膿疱症の治療方針

基本となるのは外用療法です。
掌蹠膿疱症患者のほとんどすべてが、掻破や鱗屑をはがす行為により皮疹の悪化を招いており、治療の効果を十分引き出すには、適切な外用療法の実施が重要です。

外用のポイント

  1. 掻破、膿疱をいじることを中止。
  2. 保湿の徹底。
  3. 外用薬を強くすり込まない。
  4. 症例ごとにステロイド外用とビタミン D3外用薬の有効性が異なり見極めが重要です。
  • 必要な検査と治療
    病巣感染の検索と治療 適切な外用療法
  • 手助けとなる治療
    ビオチン療法
    マクロライド系
    NSAIDs(関節症状有する場合)
  • 病巣感染治療を行ったうえで考慮しうる治療
    ビスフォスフォネート(関節症状有する場合)
    シクロスポリン
    メトトレキサート(関節症状有する場合)
    抗TNFα製剤(関節症状有する場合)

チェックリスト

  • 喫煙歴 罹患年数、本数
  • 慢性扁桃炎の既往
  • 歯科治療
  • その他病巣感染の検索と治
  • 関節症状の有無
  • 金属アレルギー検査
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