イソトレチノインを使うとニキビができる?いつから効果が出るのかも解説
イソトレチノインを使うと、かえってニキビが悪化する……そんな噂を耳にして、興味はあるけれど治療を迷っている方もいるのではないでしょうか。
確かに、初期にニキビが一時的に増える「好転反応」がみられることもあります。ただしこれは一部の方に起こる一時的な反応で、時間の経過とともに治まるのが一般的です。
イソトレチノインは即効性のある薬ではありませんが、継続により皮脂分泌が抑えられ、ニキビのできにくい肌へと導きます。
この記事では、イソトレチノインで本当にニキビが悪化するのかや、いつから効果が出るのかなど、治療を始める前に知っておきたいポイントを詳しく解説しています。イソトレチノイン治療に興味があるけれど不安で一歩踏み出せない方も、ぜひ最後までご覧ください。
イソトレチノインを使うとニキビができるって本当?
ニキビを治したいのに、イソトレチノイン治療を行うとニキビが増える、悪化すると聞いたことのある方もいるでしょう。
ここでは、イソトレチノインによるニキビの悪化の有無や悪化がみられる期間なども含め、詳しく解説します。
まれに一時的なニキビの悪化(好転反応)がみられる
イソトレチノインを使うと、まれに一時的なニキビの悪化が見られます。好転反応と呼ばれることもあるでしょう。
一時的なニキビの悪化の具合には個人差はありますが、臨床試験では副作用の一つとして報告されています。イソトレチノインを使用した方、皆にニキビの悪化が見られるわけではありません 。[1][2]
ニキビの一時的な悪化がみられる期間
ニキビの一時的な悪化がみられる期間は、イソトレチノインの服用を始めてから1〜2ヶ月ほどと言われています。この現象はイソトレチノインに限らず、他のニキビ治療薬でもみられる反応です。
薬が効いていないわけではなく、副作用症状の一つとしてあらわれます。 [3]
イソトレチノインの効果が出るのはいつから?
少量でもイソトレチノインの服用を始めると、早期に皮脂分泌を大きく抑える効果があると言われています。[4]
ある試験結果からは、治療開始後4週間以内に、皮脂腺の活動が急速に低下することがわかりました。体重1kgあたり1日0.5〜1.0 mgの量(体重50kgの場合1日25mg〜50mg)で、6週間以内に皮脂分泌量が約90%も減少すると言われています。[2]
また別の試験では、膿(うみ)を持っていたり炎症を持っていたりする赤ニキビに関して、開始1ヶ月後で約17%、2ヶ月後で約33%のニキビ減少が確認されました。
20週(約5ヶ月後)続けた結果では、約81%の患者でニキビの数が90%以上減少。88.9%の患者が治療成功と判断されています。
また低用量でも16週目(約4ヶ月)でプラセボ群と比較して優位なニキビの数の減少が報告されています。[5]
これらの結果を踏まえると、低用量でも3〜4ヶ月目にはイソトレチノインの効果がみられると言えるでしょう。
一時的にニキビが増えたときの対処法は
イソトレチノインにより一時的にニキビが増えた場合の対処法や、日常生活でできる予防法について解説します。
イソトレチノイン治療でニキビが増えたらどうする?
イソトレチノイン治療中にニキビが増えた場合は、自己判断で中止せず、医師に相談しましょう。
これは治療初期にみられる「一時的な悪化」であり、必ずしも治療が失敗しているというわけではありません。悪化の程度によっては抗生物質を併用したり、イソトレチノインの用量を一時的に調整したりする場合もあります。[2]
イソトレチノインの効果を出すためには、気になる症状があっても自己判断で辞めたり量を減らしたりせず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
日常生活でできるニキビを増やさないための予防法
日常生活でできるニキビを増やさないための予防法は以下のとおりです。
1.洗顔の目安は1日2回
洗顔回数が多すぎても少なすぎても肌にとってよくありません。朝と夜の1日2回を目安に、やさしく洗いましょう。強い洗顔料やスクラブ入りのものは肌に刺激になるため、避ける方が良いとされています。[6][7]
2.スキンケア・メイク用品は低刺激・ノンコメドジェニックを
ニキビを増やさないようにするためには、アルコールや香料の入っていない、保湿力のあるものがおすすめです。セラミド配合の保湿剤は、肌のバリア機能を整えると言われています。メイク用品も同様に、ノンコメドジェニックや低刺激性のものを選びましょう。油分の多いメイク用品は毛穴を詰まらせる原因となります。[6][7]
3.髪の皮脂にも注意
髪が顔に触れていると、髪の皮脂がニキビの原因になることがあります。髪が肌にかからないようにまとめるなど、工夫してみてください。[7]
4.ニキビは触らず、潰さないように注意
手で触ったり潰したりすると炎症が悪化し、跡が残る原因になります。気になっても手でニキビを触らないようにしましょう。[7]
5.紫外線対策も忘れずに
紫外線はニキビを悪化させる原因になります。SPF30以上でノンコメドジェニックの日焼け止めを使いましょう。日焼けサロンの利用は避けてください。[6][7]
イソトレチノインの基本的な効果
イソトレチノインの服用により期待できる効果は主に以下の3つです。
- 皮脂分泌の抑制
- 毛穴詰まりの改善
- 炎症を抑える作用
それぞれ詳しく解説します。
皮脂分泌の抑制
イソトレチノインにより皮脂腺の働きが抑えられることで、皮脂の分泌量が少なくなります。その結果、アクネ菌の栄養源となる皮脂が減り、ニキビの発生を防ぎます。[8]
また毛穴の開きや黒ずみも目立ちにくくなり、脂性肌の改善も期待できるでしょう。
毛穴詰まりの改善
イソトレチノインは毛穴の出口にある角質細胞の異常(角化異常)を抑えます。皮脂がスムーズに排出されるようになり、ニキビのもとであるコメドの形成予防が期待できます。
炎症を抑える作用
炎症のもとになる物質の抑制や免疫バランスの調整により、赤ニキビや膿を伴うニキビの炎症を鎮めます。
イソトレチノインによる副作用や注意点
イソトレチノインによる副作用や注意点について解説します。
重篤な副作用
イソトレチノインでみられる重篤な副作用は以下の表のとおりです。
妊婦への影響 | 胎児の奇形、流産、死産、早産 |
精神症状 | うつ、幻覚、幻聴、自傷行為、自殺企図など |
消化器症状 | 急性膵炎、肝機能障害、炎症性腸疾患など |
内分泌・代謝 | 脂質異常、血糖値の異常など |
皮膚症状 | スティーブンスジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症 |
おおしま皮膚科では、イソトレチノインを服用する前、服用後1ヶ月に必ず血液検査を実施し、肝機能や脂質異常などの副作用を早期発見ができるようにしています。
イソトレチノインの影響により、体調悪化の危険性が高いと医師が判断した場合には処方を中止することもあります。[3][8][9]
よくみられる副作用
イソトレチノインでよくみられる副作用は、唇の乾燥です。これは一般的な症状であり、服用量が多いほど起こりやすくなると言われています。
そのほか、鼻の粘膜の乾燥や日光過敏症(紫外線に敏感になる症状)がみられることもあります。これらの副作用の多くは軽度であり、一時的なものです。服用を中止すると改善する、可逆的な副作用とされています。
乾燥対策としてこまめに保湿剤を使うと良いでしょう。特に唇や鼻の周りは乾燥しやすいため、リップクリームや保湿クリームを活用してください。
また日光過敏症への対策として、日焼け止めの使用や帽子・日傘の活用など、紫外線対策をしっかり行うことが大切です。[3]
当院のイソトレチノイン治療の特徴と治療の流れ
当院におけるイソトレチノイン治療の特徴と流れについて解説します。
当院のイソトレチノイン治療の特徴
当院では、治療開始前と開始1ヶ月後に血液検査を行います。副作用の有無や血液検査から体調の変化がないかを確認するためです。
血液検査の結果からイソトレチノインの影響が疑われる場合は、医師が治療を中止する可能性があります。当院では、患者さまの体調を考慮し、血液検査の結果を確認しながら慎重に継続について判断しています。
治療の流れ
以下はおおしま皮膚科でのイソトレチノインを使用した治療の流れです。
- 医師による診察と事前の血液検査
イソトレチノインが使用できるかどうか、医師による診察にて確認します。副作用症状が出たときにすぐ対処できるよう、事前に血液検査を行います。 - 服用開始
患者さまの体重や肌の状態に応じて、その方に適切な量と期間を決定します。 - 開始1ヶ月後の血液検査・経過の確認
開始1ヶ月後にも血液検査を行い、服用前の結果と比較して副作用が出ていないかを確認します。イソトレチノインの影響が考えられる場合は、医師判断により、治療を中止することもあります。 - 症状の改善がみられたら終了
症状の改善がみられた場合、治療は終了します。
期間 | 1クール:約6ヶ月(個人によって異なる) |
飲み方 | 1日1〜2回(毎日)必ず食後に飲むこと |
1日の服用量 | 10〜20mg(個人によって異なる) |
採血 | 服用開始前、開始1ヶ月後に実施し、副作用の有無を調べる |
注意点 | 飲み忘れた場合でも一度に2回分飲まない |
治療の流れ | 医師による診察事前の血液検査検査結果に問題なければ服用開始開始1ヶ月後に血液検査を行い、副作用の有無など経過の確認症状の改善がみられたら終了 |
イソトレチノイン治療では、服用前や服用開始1ヶ月後に血液検査を行い、副作用の有無などを確認します。その後は医師の判断により、必要に応じて血液検査を行っています。
費用について
イソトレチノインの費用と服用回数は以下のとおりです。イソトレチノイン治療は保険適用のない自由診療です。通常1日1〜2回の服用ですが、適切な用量や飲む回数は人によって異なります。
アクネトレント
10mg(30錠・30日分) | 7,500円(税込8,250円) |
20mg(30錠・30日分) | 12,000円(税込13,200円) |
イソトレチノインに関するよくある質問
イソトレチノイン治療に関するよくある質問にお答えします。
イソトレチノインでニキビが増えたのはなぜですか?
イソトレチノインの治療初期は、副作用症状のひとつとしてニキビの悪化がみられます。一時的なものであるため、継続するうちに徐々に治まってきます。
イソトレチノインはニキビを悪化させますか?
イソトレチノインは、服用初期にニキビの悪化がみられる場合があります。これは服用初期にみられる一時的な反応です。
また全員に出るとは限らず、副作用症状の一部として知られています。1〜2ヶ月で治まったあとは、改善に向かいます。
イソトレチノインの好転反応はいつまで?
ニキビの一時的な悪化(好転反応)は1〜2ヶ月程度で治まると言われています。
ニキビでお悩みなら渋谷駅前おおしま皮膚科へ相談を
イソトレチノイン治療では一時的にニキビの悪化がみられることもありますが、これは服用初期に多い反応です。
ニキビ治療を行っているのにニキビができたり悪化したりしてしまうと、多くの方が治療を継続して良いか不安になるでしょう。しかし、この反応は一時的なもので、時間とともに落ち着きます。
治療を継続することで徐々に効果を感じやすくなるため、不安なときは自己判断で辞めたり量を減らしたりせず、必ず医師に相談しましょう。
ニキビを治したくても「イソトレチノインでは逆にニキビができる」と聞き、治療をためらっていたり選択肢から外したりされた方も、まずはお気軽に渋谷駅前おおしま皮膚科までご相談ください。
アクネトレントについて
未承認医薬品等 | 日本国内では未承認医薬品に該当 |
入手経路等 | 当院医師の判断のもとPRSS社より購入しています。個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はリスクが潜む個人輸入をご確認ください。イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。 |
国内の承認医薬品等の有無 | なし |
諸外国における安全性等に係る情報 | 服用期間中とその前後1か月間に性行為をする場合は、必ず避妊を行ってください。服用期間中とその後1か月間は妊娠、授乳、献血をしないでください。※妊娠女性への輸血により、胎児にイソトレチノインの影響が生じるおそれがあります。イソトレチノインを、他の人と共用しないでください。 |
参考
[1]Efficacy and adverse events of oral isotretinoin for acne: a systematic review – PubMed
[2]The use of isotretinoin in acne – PMC