やけど(熱傷)けがの症状 治療方法について - 渋谷駅前おおしま皮膚科

熱傷(やけど)

熱傷(やけど)の治療方法

傷の治療の基本の考えは同じです。

日本赤十字社医療センターでは皮膚科、整形外科、糖尿病内科、靴の専門外来、褥瘡専門ナースがタッグを組んだ創傷ケア外来があり、多くの症例を経験させていただきました。

熱傷

熱傷の症状例

古くから伝わる、「消毒して乾かす」治療‥実は、これは大きな間違いで「傷を乾かし、消毒する」という行為は無意味なだけではなく、多くの場合傷の治癒を遅らせ、消毒剤により傷を治す細胞を殺したり、接触皮膚炎(かぶれ)を起こす可能性があります。

しかしながら、傷の消毒は現在も多くの病院で日常的に行われています。

医学の祖、ヒポクラテスは「感染していない傷は何かで覆わずに、乾燥させてかさぶたを作ることで早く治癒する」と述べており、ここから間違いが始まったものと思われます。

1958年のOdlandにより「湿潤環境(つまり、傷を乾燥させない、乾いたガーゼを当てない治療」がやっと提唱されました。

これは「熱傷は水疱を破らずに、放置した方が速く治癒する」というもので、それまでの水疱をやぶき、乾燥させる治療を覆す報告でした。

現在やっと湿潤治療が広まりつつありまり、サランラップを用いたラップ療法も非常に優れた治療と考えます。

ただし、「ラップ療法」に対して創面を食品包装用ラップで覆うことに対して「創面は医療用に認可された医療材料で覆われていけない」という反対意見、医学会の攻撃も依然あります。

サランラップに限らず皮膚欠損創を創傷被覆材で密封すると、早い治癒が得られますが、このような「閉鎖療法」で細菌(特に嫌気性菌)が増えるのではないかと思われるかたもいますが、これまで菌が増えたとのエビデンス(根拠)のある報告はなく、むしろ「閉鎖療法は、開放治療と比較し感染率が低い」という報告しかありません。

以上、熱傷、創傷の治療を選択するときは湿潤環境を維持することを基本にします。

患者様の基礎疾患、傷にあわせて適切な治療を選択する必要があります。

熱傷(やけど)の種類

種類 特徴 治療
第一度熱傷
(表皮熱傷)
紅斑、膨疹がみられ、数日で消退し痕は残らない。 ステロイド外用
第二度熱傷
(真皮熱傷)
びらん、水疱が形成され、痕が残る確率が高い。 湿潤療法
第三度熱傷
(皮下熱傷)
皮膚が灰色化、壊死し焼痂する。 多くは植皮
やけど

当院では第一度熱傷と第二度熱傷の治療を行っています。第三度熱傷は総合病院もしくは大学病院に紹介となります。

当院の第二度熱傷の治療法

受傷直後はクーリング、初日は炎症細胞をひかせるためにステロイド外用を併用します。

その後は湿潤環境を維持するためシンプルに閉鎖療法、もしくは創傷治癒を促します。

傷が早い段階できれいになると報告のあるフィブラストスプレー、また水疱がやぶけた場合は肉芽の状態をみてオルセノン軟膏、プロスタグランジン軟膏、アクトシン軟膏等を併用します。

軟膏基剤が吸湿性の高いものの場合(例 カデックス軟膏、アクトシン軟膏、ユーパスタ、ブロメライン軟膏等)はその上にラップ等で保護をしても傷を乾かすため、湿潤療法との併用はあまりおすすめできませんが、逆に浮腫状の肉芽には良い治療の適応となります。

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