いわゆる水虫のことです。
水虫とは白癬菌(皮膚糸状菌 ; Trichophyton.rubrum、Trichophyton.mentagrophytes)というカビの一種が皮膚に感染して起こる疾患です。
日本人の5人に1人が水虫、10人に1人が爪水虫という統計もでており、皮膚科では非常にありふれた疾患です。
みなさん汚くしてるから水虫になったと思われる方もいらっしゃると思いますが、汚くしてるからではなく感染したり、なりやすい体質の方もいますので恥ずかしがることはありません。
爪水虫をきちんと治療をしない限り、すぐに足水虫を再燃してしまい、水虫と一生付き合わなければいけないようになってしまいます。
そうならないためにもしっかりと治療した方が良いと考えております。
足の皮膚が痒くなる疾患、爪が白くなる疾患は多々あり、臨床をみただけでは、いくら経験をつんだ医師でも100%の診断はできないので検査が必要です。
大きく分けて2種類あります。足の皮膚の水虫が ”足白癬” 足の爪の水虫は ”爪白癬”といいます。
ごく稀に手が水虫になる人もいますが、一日中手袋をしている方などで、基本的に一日1回手を洗えば水虫の菌が繁殖することはありません。
足白癬は「趾間型」「小水疱型」「角化型(角質増殖型)」
爪白癬は「遠位・側縁部爪甲下型」「近位部爪甲下型」「白色表在型」「全層異形成型」に分けらます。これらにはそれぞれ特徴があります。
爪が白く濁っている、分厚くなっている、爪が脆い
基本的には気長に付き合っていく治療です。内服薬、外用薬、足白癬、爪白癬によってもそれぞれ治療期間が異なってきます。
一度よくなってもぶり返しやすい疾患ですので、一度かかった人は夏など暑い時期は予防的外用を推奨しています。
皮膚の一部の皮を採取し、顕微鏡で菌がいるか確認します。菌が見つかれば水虫の治療を開始します。
市販の水虫の薬や皮膚科で処方された水虫の薬を塗っていると菌がみつからないことがありますので水虫がいるかどうか確認したい方は1,2週間外用を中止した状態で受診してください。
当院で主に処方している外用薬一覧です。外用薬のデメリットとしてかぶれる可能性があるので注意が必要です。
足白癬 | |
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ルリコン(軟膏・クリーム・液) | |
ラミシール(軟膏・クリーム) | |
アスタット軟膏 | |
ゼフナートクリーム | |
メンタックスクリーム |
爪白癬 | |
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クレナフィン爪外用液 | |
ルコナック爪外用液 |
外用薬は足をきれいに洗ってから塗るようにしましょう。
お風呂上りに水分を丁寧にふき取り、その後皮膚が乾燥してから薬を塗ることがポイントです。
とくに入浴後の皮膚はふやけてやわらかくなっているため、成分が浸透しやすくなっています。
もうひとつ注意が必要なのは塗る範囲です。患部だけでなく指全体あるいは足の裏全体にと広めに塗りましょう。
外用薬の効果は2~4週間ほどであらわれます。ただし、皮膚がきれいになってもすぐに外用をやめてしまえば再発の原因となります。
皮膚がきれいになり、かゆみなどの症状がなくなっても、最低3ヶ月以上は毎日続けるようにしましょう。
また予防的外用のケアも重要です。
爪の塗り薬はただ漠然と塗っていても治らないことが多いです。その場合は爪を楔型にカットしたり、爪を柔らかくするケラチナミン軟膏、サリチル酸ワセリンを併用するなど工夫が必要になり、当院でしっかりと指導させていただきます。
外用治療でかぶれる方や、治りが悪い方、中等症以上には積極的な内服治療が必要です。
ラミシールでは6カ月、ネイリンカプセルは3ヵ月、イトリゾールパルス療法では3パルス(1週間内服、3週間休薬)で3ヶ月の治療です。
特にラミシール内服のエビデンスが最も優れています。3種類の内服薬から患者様に合った治療方法を選択します。
内服薬は肝臓や腎臓に負担を与える可能性があることから、定期的な採血が必要となります。
また、妊娠中・授乳中の方には禁忌です。
Q1 | どの皮膚科で治療をしても一緒ですか? |
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A |
残念ながら顕微鏡検査をしない適当な病院も多々あることから、最低限、皮膚科専門医での治療をおすすめいたします。 (日本皮膚科学会のホープページから皮膚科専門医MAPでお近くの皮膚科専門医を探してみてください)。 当院では足白癬、爪白癬に対しては通常治療以外に様々な工夫をしております。 爪肥厚・剥離爪には十分に薬剤が浸透しないことから、尿素軟膏(ケラチナミン軟膏)のラップ密閉療法を数日行い、軟化させてからニッパーで切ったり、剃刀で削るなどの工夫をしております。また経験的に、内服期間中も外用薬を併用したほうが治りが早いです。 ただし併用療法が内服単独より優位であることを示す明確なエビデンスがないため、保険診療上併用を認可しない意見があるのは残念なことです。爪の外用をよくするために爪をニッパーできったり、木工用小型ドリルで小穴を病爪に開け外用薬を注入するなどの工夫をしています。 |
Q2 | 家族へはうつるの? |
A |
うつることはあります。ただし、白癬菌は世の中いたるところにいるため、結局はうつったからといって責任を感じる必要はありません。 【 感染しないために気を付けること 】
しつこいようですが、白癬菌は世の中いたるところにいますし、5人に1人白癬菌をもっているという現在、神経質になる必要はないです。 |
Q3 | 塗り薬による治療法はどういったものがあるの? |
A |
水虫のタイプによって使い分けます。 水虫が治らなかった原因のひとつに、水虫のタイプに薬が合っていない場合が考えられます。 カンジダに対して抗菌力が強いもの、白癬菌に対して抗菌力が強いものは異なり、適切な外用薬を選択します。 また外用薬には軟膏、液、クリームなどがあり、水虫の種類やタイプによって使い分けています。 |
Q4 | 色々お薬を内服していますが、内服薬を飲むことはできますか? |
A |
爪水虫、足白癬の飲み薬は、併用注意薬、併用禁忌薬があるので注意が必要です。 テルビナフィン塩酸塩(ラミシール)は特に併用禁忌薬葉ありません。 併用注意薬は、シメチジン、リファンピシン、三環系抗うつ薬、デキスロトロメトルファン、黄体・卵胞ホルモン合剤、シクロスポリンです。 イトラコナゾール(イトリゾール)は比較的、併用禁忌薬が多くピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、バルデナフィル、エプレレノン、ブロナンセリン、アリスキレン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ダビガトラン、リバーロキサバンが併用禁忌となります。 併用注意薬はさらにたくさんありますので、内服治療の際はお薬手帳をご持参ください。 |
Q5 | 内服治療の注意点は? |
A |
テルビナフィン塩酸塩(ラミシール)は肝障害およびその既往者には使用できません。 少なくとも投与前、2、6週後の肝機能検査をおすすめしています。 テルビナフィン塩酸塩(ラミシール)での肝障害は投与2カ月以内にみられることが多いからです。 イトラコナゾール(イトリゾール)には高血圧、不整脈、胃潰瘍、高脂血症、不眠症といった有病率の高い疾患治療薬に相互作用のあるものが多く要注意です。 |
Q6 | どのくらいの内服が必要ですか? |
A | ラミシールでは6カ月、ネイリンカプセルは3ヵ月、イトリゾールパルス療法では3パルス(1週間内服、3週間休薬)で3ヶ月の治療となっており終了時点で一度経過をみます。一般に内服終了後も改善していくので、規定の内服期間後、しばらく経過観察をすべきで、延々と処方を続行してはいけません。 |
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