ひょう疽とは、手や足の爪の周囲に急性の炎症が起こった状態で主として細菌が感染して起こる病気[指趾末節の蜂窩織炎(ほうかしきえん)]です。
爪囲炎・爪周囲炎とも呼ばれます。
爪の周囲に小さい傷があったり指しゃぶりで指がいつも湿った状態になりやすい乳幼児、水仕事の機会の多いかたや、手荒れが起こりやすい人に多くみられます。
ヘルペス性ひょうそやカンジダ性爪囲炎、乾癬(かんせん)による爪囲炎など、似た症状で治療が異なる疾患があるため、しっかりとした診断が必要となります。
ひょう疽の症状例
ひょう疽の原因はさまざまです。爪囲部のささくれ、小さな切り傷、爪切りの際の傷や巻き爪、陥入爪で皮膚に爪が食い込んでいるところ等から感染が起こり、爪囲が赤くはれ上がり、痛みが強くなります。
黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌などが頻度の高い原因の菌です。
ひょう疽は、手や足の爪のまわりから赤くはれて、痛みも次第に出現します。爪の周囲からうみが出る場合があります。
炎症の部位によっては爪が取れてしまったり、腕や下腿のリンパ管に沿って炎症が広がり、赤い線状のリンパ管炎、また蜂窩織炎を伴うこともあります。
うみがでる場合は細菌培養を行います。
慢性に経過し症状の軽い場合は、カンジダ性爪囲炎や白癬性(はくせんせい)爪囲炎を疑ってカビの検査も行います。ヘルペス性ひょうそは単純ヘルペスが指先に生じたものです。
この場合、水疱内からウイルスに感染した特徴的な巨細胞が検出され細菌性と区別できます。
湿疹性爪囲炎では、他の指にも湿疹がみられ、かゆみを伴います。
乾癬による爪囲炎や掌蹠膿疱症に伴う爪囲炎は、他の部位にも病変がみられることが多く、爪に点状のくぼみがみられます。
炎症して爪の周りに赤み・痛みがあるのみで症状は軽く、まだ膿が溜まっていない状態です。
原因細菌が主に黄色ブドウ球菌なので、この菌に効果のある抗菌薬を内服し、痛みが強い時は痛み止めを併用します。
ゲンタシン軟膏など抗菌作用のある塗り薬も併用することもあります。
炎症が進行し、爪の周りに膿が溜まったり、膿が出てきている状態です。
側爪郭部は角質が厚い部位で膿の自然排出がされにくいため、切開または注射針で小さい穴を開け、膿を出します。
抗菌作用のある塗り薬も併用すると効果的です。
陥入爪(かんにゅうそう)、いわゆる巻き爪は、爪が周囲の皮膚に食い込み、ひょう疽の原因にもなり得ます。
巻き爪は、爪の角の部分を切りすぎてしまうことが悪化の要因となりますので、爪の端が指の外に出るまで伸ばすようにしましょう。
ひょう疽は足の指にも起こります。つま先が狭くなっているハイヒール・サイズが小さな靴を長時間着用することが引き金になることもあるため、ご自身の足のサイズに合った靴を着用することをおすすめします。
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