イボ(尋常性疣贅)
イボ(尋常性疣贅)とは?
「イボ」はヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus、HPV)が皮膚粘膜に感染して生じる良性腫瘍です。
臨床像は、尋常性疣贅、扁平疣贅、足底疣贅、および尖圭コンジローマなどに分類され、その存在部位と外観から診断は容易です。
治療
当院ではイボ治療には特に力を入れています。
残念ながらイボの治療はどの治療をしたら完治するという治療法はございません。
一般的な液体窒素療法による冷凍凝固術で改善しない患者様に、痛みのない免疫賦活剤による治療。
ブレオマイシンおよびインターフェロンの局所注射、手術、レーザー治療等様々な治療を提案させていただいております。
大学病院のイボ外来で行われているほぼ全ての治療を当院では施行できますので、他院で治らないイボもお気軽にご相談ください。
部位や大きさ、年齢によって患者様にあった治療方法を提供致します。
液体窒素
イボ治療の第一選択です。ほぼすべての病院で行われている治療ですが痛みが強く、お子様が病院嫌いになる治療の一つです。
液体窒素は、沸点マイナス195.8℃、融点融点マイナス204℃の超低温液体で、自然気化するので保存には 特殊な容器が必要です。
魔法瓶と綿棒もしくは液体窒素スプレーをイボを軽く10数秒間圧抵し冷凍凝固させ、凍結・融解の操作を3~4回繰り返します。かなり疹痛が生じます。
部位や数にもよりますが、通院は基本的に1週間~2週間に一度で数週間~数年単位の治療となります。(特に足底や手掌等皮膚が分厚い部位は治るまで時間がかかります。)
当院では、3~6ヵ月間定期的に液体窒素の治療をしても改善が見られない場合は、他の治療と併用したり別の治療に切り替えることもございます。
※注意事項
液体窒素は低温やけどをさせる治療ですので、水疱ができることがございます。
1~2週間ほどで吸収されますので、水膨れができた場合はご自身で潰さないようにしてください。また、水疱により痛みを伴う場合もございます。
あまりにも痛みが強い場合や水疱に感染が併発した場合、炎症が強くおきた場合は早めに受診してください。
【 受診について 】
液体窒素の予約はお取りしておりません。液体窒素のみ希望の場合は、処置室が空き次第優先してご案内いたしますので、受付時に「液体窒素で来ました」と一声お声掛けください。
お声替えがなかった場合や、他の診察もご希望の場合は順番通りの診察となりますので、通常通り番号をとってお待ちください。
イボ剥ぎ法
当院では月に10件程保険診療によるイボはぎ法を施行しております。
治療は局所麻酔後、イボをはぎとります。再発率が他の治療と比較し少なく、また保険適応であるためおすすめの治療です。
液体窒素療法を数か月以上継続しているけれど改善しない患者様にはブレオマイシン、インターフェロン同様おすすめの治療となります。
ブレオマイシン・インターフェロンの局所注射
【 ブレオマイシン 】
ブレオマイシンは抗癌剤であるため、液体窒素療法で治り難い「イボ」や足底の「イボ」に使用することが多いです。
副作用としては爪周囲の場合はまれに爪の変形がおこることがあります。また、疼痛も伴う治療となります。
自費治療で、料金1か所のイボにつき5,000円(税込5,500円)です。
【 インターフェロン 】
インターフェロンをイボ周囲に、局所注射します。免疫作用をUPし、周囲からイボウイルスの増殖を抑え込みます。
ブレオマイシン単独もしくはインターフェロン、ブレオマイシン併用療法をおすすめいたしますがチガソン内服とともにイボ治療の最終手段と考えています。
自費治療で、料金1か所のイボにつき10,000円(税込11,000円)です。
外用薬
【 ビタミンD3製剤外用 ODT 】
活性型ビタミンD3誘導体で、表皮角化細胞の増殖を抑制し表皮肥厚を改善する作用があります。
足の裏など皮膚が分厚い場所ではただイボにつけるだけではあまり効果がうすく、イボにつけた後にラップで密封したりスピール膏をかぶせることで高い治療効果を発揮します。
【 べセルナ軟膏 】
もともとは尖圭コンジローマの治療薬です。皮膚の薄い部位のイボに対しては効果を発揮します。
内服薬
【 ヨクイニン 】
イネ科のハトムギの種子を乾燥させたものです、免疫調整効果を期待して内服します。単独で用いることは少なく、液体窒素凍結療法と併用したりします。
お茶アレルギーがなければ副作用もありません。
【 チガソン 】
ビタミンAの内服薬です。
疣贅は表皮の角質の基底層に存在していることが多く表皮のターンオーバーを早めイボを排出させる治療法で、液体窒素と併用するとより効果的です。
ビタミンAは内服にて催奇形成の報告があるため、副作用をしっかり理解したうえでの治療ですので、妊娠中、授乳中、妊娠予定、妊娠活動中の方にはできない治療です。
女性の方は少なくとも2年、男性の方は少なくとも6ヵ月避妊が必要です。
既婚者の方は特にしっかりとご家族の方と相談していただいてから、治療を開始することをお勧めします。
炭酸ガスレーザー焼灼術
液体窒素療法で効果がない方にはおすすめです。治癒率は液体窒素療法と比較して高いです。
ただ、炭酸ガスレーザー治療は保険が効かなく、治療が高額になることがあります。
炭酸ガスレーザーは液体窒素凍結法より治癒までの期間が短いですが潰瘍化することもあり部位によっては注意が必要です。
尖圭コンジローマ、尋常性疣贅と糸状疣贅に用います。
【 炭酸ガスレーザー料金(自費料金) 】
・レーザー直径3mm未満 10,000円(税込11,000円)
・レーザー直径3mm以上~5mm未満 15,000円(税込16,750円)
・レーザー直径5mm以上 20,000円(税込22,000円)
※症状によっては保険適応となる場合があります。医師による診察時の判断となります。
Vビームによるイボ治療
液体窒素に反応しない難治例のイボ(尋常性疣贅)の場合、Vビームでレーザー治療を行うこともあります。
多発性の尋常性疣贅の場合、液体窒素での治療に伴う潰瘍および瘢痕形成などが問題となる場合があるためです。
近年、イボに対してさまざまなレーザー治療の有効性が明らかとなってきています。
特に、当院で使用しているロングパルスダイレーザー「Vビーム」を用いたイボ治療は、良好な成績を得ていることが国内の論文でも報告されています。
Vビームを用いたイボ治療については、症例写真をあわせ下記ページで詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
当院では、キャンデラ社のVビーム最新機器「Vビームプリマ」を使用しています。レーザー機器に関する詳しい説明は、
こちらのページをご覧ください。
SADBE療法による免疫賦活化
感作性の物質を塗布し、炎症を起こして免疫機構を高める方法です。円形脱毛症にも用いられます。
痛みがなく、特に扁平疣贅に効果が高いです。
凍結療法以上に治癒までの期間を要しますが、疾痛がない自費治療の一つです。
おまけ…暗示療法(自然治癒)
どのような治療法にも抵抗性の症例に。
昔から特に扁平疣贅に効果があるといわれている治療です。
非科学的と思いきや担当医師が変わっただけで急に治ったというのはよく経験することです。
絶対に治らせるという自己暗示をかけますが、私はこれは不得手です。
全国には「イボとり地蔵」が現存しますが、実際に治療に難渋している患者様でイボとり地蔵に行って治ったという患者様がいるのも事実です。
HPVあるいはHPV感染ケラチノサイトに対する免疫反応によるものと考えられています。
Q&A
Q |
どこかでうつったのでしょうか? |
A |
いつ、どこで感染したかは不明のことが多く、外傷の一定期間後に生じたり、陰部に発生した「イボ」は感染機会があることから、接触感染が考えられています。
その潜伏期間は数ヵ月から半年、なかには、1年後に発生したものもあり、どこでうつったかを推測するのは容易ではありません。
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